でるべんの会〜35ブックスについて

出版業界の勉強会として10年(!)続いているという
「でるべんの会」に初めて参加してきました。
http://deruben.exblog.jp/


ポッド出版代表の沢辺さんを講師に迎えて
テーマは「今、中小出版社に何ができるのか?」
内容は、再版委託制の見直しの動きにからめて
ポッド出版も参画している「35ブックス」についてです。


返本率40%、10年連続で右肩下がりなのに、出版点数ばかりが
増える(年間8万点、一日に7000点もの新刊が出る!)という
構造的問題を抱えた出版業界。
ここに風穴を空けるべく始まったのが、35ブックスで。


書店の取り分を35%に上げる代わりに(通常20%ちょい)
出版社への返品時には35%でしか払い戻ししません(通常は基本、無償返金)
という制度。
要するに書店に買い取ってもらって、「売る努力」をしてもらおうよ
という制度なわけです。
そんな他の業界では当然なシステムが、目新しく脚光を浴び、中堅数社によって
始まったのだが、これまたなかなか課題も多い。


客観的に観て、買い取り用の本の種類を出版社が選んでいる時点で
たしかに書店としてはうまみが少ないように感じる。
だって、やっぱり地味な本が多いですもん。ラインナップ。


でも、沢辺さんの
「35ブックスの売上は、全体100のうちの1にも満たない。
でも、始めることが大切。そうしないと先に進まない」
というご意見はまさにそうで、


本の内容がデジタルで読めちゃう時代を迎えて、
本なんてあんな所持コストのかかるもの、
そうそう溜めておけないし(本の在庫は場所を食うんだ)
そうなると、電子で好きな時に、好きな本を
という流れは、必然のような気もする。


その傾向を加速させたのは i-phoneだと思うし、
twitterなんかの普及を観ていても、一度広まってしまえば
すごく早いんだろう。


そんな中で、沢辺氏は
時代に抗うのではなく、デジタル化時代を迎え入れる立場を取る。

その1つが、「ジャパニーズブックダム」。
国会図書館の書籍の全スキャニングと全文検索googleに先んじて
敢行してしまおうというもの。


課題は多いかもしれないが、一営利企業に実権を握られるよりは
よほどましだし、公共性と今後の可能性を感じるプロジェクトだ。



本がなくなることはないけど、
間違いなく言えるのは、
これから先、ますますダウンサイジングしていくだろうし、
点数も出版社の数も減ることはあっても増えることはないだろう。。


その中で、フットワーク軽く本作りを続けていけることこそ
「中小」の強み、と沢辺氏は結論付けていた。


さて、うちの会社はどうだろうか。