脱「ひとり勝ち」文明論

電気自動車「エリーカ」の開発者が灯す未来への希望、日本発の可能性。


誰もがうすうす感じている、21世紀型のドラスティックなイノベーションの必要性を
この本は”めいっぱいの希望”とともに提起してくれている。


著者は「太陽電池」や「電気自動車」を普及させることで、全世界の人々ガ「アメリカ人のような」豊かな暮らしを実現させることができ、環境問題も劇的に解決することができるだろうと、語る。「太陽」のようなどこでも誰でもが、簡単にアクセスすることが出来る資源を使うことで、権益や格差を生まない、「世界中が等しく豊かになれる新しいタイプの変化」が起こるというのだ。


すごくうまい本の作りになっているなぁと思うのは、
この著者をして、「環境本」や「電気自動車本」という切り口ではなく、
「脱一人勝ち文明論」と名付け、そのテーマに沿って、口述筆記となっているところ。


これによって、とても広い範囲の読者に届く本になった。


未来への希望は、時代やタイミングや語り口を間違えると
すごく青臭くなる。
危険の高いテーマでもあると思う。


でもシンプルな文体で、あえてそこに挑んだことで
より本の力を際立たせることに成功してしまっている。


具体的な話よりも概念的な、希望的な観測が多いという突っ込みが、
もしかしたらはいるのかもしれない。
でも、そんな批判では揺るがない強固なメッセージがここにはある。


そして、時代のイノベーションを起こすポイントは
「世論の強い意志で文明を変える」こと。


つまり、読者一人一人に委ねられているということでもある。

脱「ひとり勝ち」文明論

脱「ひとり勝ち」文明論