アヴァンギャルド・チャイナ

新国立美術館で行われている、『アヴァンギャルド・チャイナ』を観に行きました。
http://www.nact.jp/exhibition_special/2008/CHINA/index.html


中国は近年急速な経済の発展を遂げ、ついにはオリンピックを無事に終了させたわけだが、アートでも世界から注目を集めるような作品が出現しているらしい。文化大革命の終了から天安門事件を経て現代まで、いかなる変遷を遂げて来たか、中国独自の現代アートの表現を見せる展示。

全体を見ていって抱く感想はけっこうえぐい、ということ。
「死体派」なんていうパフォーマンスの系譜から示されるように、素っ裸で虫のいる小屋に閉じこもったり、管を口と下半身に繋げて息を出来なくしたり、肉片をえんえんと潰したり、「私は死にます」という台詞を全10ヶ国の人たちに言わせてみたり。。

興味深いのは、文化大革命を機に文化的鎖国が解け、ヨーロッパから受容されたアヴァンギャルド、パフォーマンス、ポップアートといったものが中国的に咀嚼されて作品に落とし込まれている、ということ。

例えば、天安門事件の失敗から厭世観がただようようになり、それが世の中を冷ややかにとらえる「シニカル・リアリズム」という表現に結びついていった。政治的・歴史的背景が、中国でのアートを独自のものにしているという、その化学変化みたいなものが面白い。

現在中国のような表現の自由が制約された状況下で、抑圧を受けながらも作品作りに挑むアーティストの苦闘が見て取れるのである。

同時開催のウィーン絵画展よりは刺激的なんじゃないでしょうか…!