入力と出力に関しての覚え書き

茂木健一郎の『脳を活かす仕事術』を読み、いくつも肝に銘じておきたい言葉がてんこもりだったのだけど、その中の一つだけ記しておきたい。

それは、「入力と出力のサイクルを回せ」ということ。

人の脳は、イケてるかどうかを判断する感覚脳と実際にそれを自分の手を動かして表現する運動脳があって、厄介なことにこの二つの機能が繋がっていないために、意識的に感覚脳(入力)と運動脳(出力)のサイクルを回して目に見える形で鍛えていかないといけないらしい。
一流のもの、本物に触れて、目利きになることは重要だけど、それだけだと単なる批評家になるだけで、自ら何も生み出せない。
そうではなくて、「分かっているけど出来ないこと」を出来ることに変えていくために、とにかく躊躇せずに出力しないとならない。

この出力は小さくてもいいから、とにかく積み重ねる。このとき邪魔になるのがどーせ自分なんて、というリミッター。
後藤繁雄さんも言っていたけれど、「とにかくやる。徹底的にやる」ということが大事なのだ。
特に何者でもない時代に、せめて出来ることと言えば、空っぽになるくらい出力すること。

別のところでみたクリエイターのブログに「脳にあるものを出力すると入力の余地が出来る」「アイデアはスポーツや音楽と同じ。鍛えないと絶対できない」というコメントを見て、きっと同じことが根本にあるのだと理解した。

実感として、会話などでも同じことがいえると思った。
一つの引っかかりが気になって、でも質問出来ずにいると、ずっとそれが気になってしまって、その人の話がすっと入ってこないということもよくある。躊躇することが自分にリミッターをかけると言う現象は、これまでの人生ですごく痛感することでもある。


さらにいってしまえば、出力後の精度を上げるために、目に見える形になった自分の「出力」を客観的に冷静に分析出来る眼も必要なのだろう。それができないとただの暴走だ。他人の作品を見るように、自分をひいた視線で見る。どういうものなのだろう。これを実感として分かることが出来たら、けっこういろいろと応用が利くことになりそう。

とにかく小さなことから、大きなことまで、今抱えている課題の全てはこの「入力」「出力」の問題に集約できる気がしてならない。
といって、ナットクしてるばかりじゃダメで、実践しないと何の意味もないことは、これまでの短い人生で学んだ数少ない教訓である。

脳を活かす仕事術

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