70円で飛行機に乗る!

ローコストキャリアをご存知だろうか。主に海外の主要都市感を飛ぶ、格安の航空会社のことで、通常でも何千円、キャンペーンで安い時には100円を切ってしまう破格の価格展開をしている。本書はそのLCCの存在を知らしめる、ひいては内向き化している日本の航空業界、日本社会全体へと警鐘を鳴らす。
 そもそも日本の航空業界が世界に大きく遅れを取っている最たる例は、オープンスカイ協定と空港の整備においてだ。オープンスカイとは自国の空を自由に飛べるよう二国間で協定を結んだもので、この協定により自国の国際空港をそのエリアでのハブ空港として人とモノが行き交う交易地点へとのしあげることが出来る。ヨーロッパで言うと、オランダやイギリス、ヒースロー。アジアではシンガポールや、敷地面積の広さで有名なソウルのインチョン空港。それに対し日本は、体裁を保つことを優先し、羽田を国際化出来ず、成田も都心に遠く自由化にも消極的だ。
 このLCCを駆使して世界へ出よ!との著者のメッセージは、ますます自国に閉じこもりがちで、鎖国的な日本の国民性(?)とその政策に業を煮やした反抗であるようにも見える。
 
 燃油が高い、政情が不安、貯蓄もない、そもそもめんどくさい。日本に留まり変わらぬ日々を送る理由なんてすぐ見つかる。それを乗り越えてでも、観るべき世界がどうも国の外に広がっているようだ。

 百聞は一見にしかず。ネットが広まって、グローバリゼーションが謳われた現代において、この言葉がこれほど重みを持つというアイロニー。なんでもクリック一つで知った気になれる現代だからこそ、そこを訪れた価値は何倍にもなる。

70円で飛行機に乗る方法 マイルを使わずとも超格安で旅行はできる  (宝島社新書)

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