冒険王 横尾忠則 @世田谷美術館


稀代のグラフィックデザイナー、横尾忠則TADANORI YOKOO OFFICIAL WEBSITEの、冒険をテーマにした展示が世田谷美術館で開催されている。
企画展 | 世田谷美術館 SETAGAYA ART MUSEUM

これまでまとまった形で観たことがなかったので、500点もの作品が観られる機会にぜひということで足を運んだ。
これまで彼の作品のイメージは、60年代あたりの女性の猥雑なイラストだったり、雑誌に掲載されていたコラージュだったりした。だが、こうしてテーマごとに作品を観ていると、時代に寄り添った作品よりも、ほとばしるように描かれたイラストの方がひかれてしまう。
例えば、「Y字路」シリーズ。
ありふれた地方の風景の一つ、Y字路が、彼に描かれると先に進むのもはばかれるような壮大なる人生の岐路に見えてしまう。右も左もその先に待ち受けているものが全く見えない。見えないからこそ、観ている方にゾワゾワした感触を与える。人生が選択の連続であり、切り開かれていくものである、ということを再認識させられる。

特に赤の色で塗りたくられた空と風景には目を奪われてしまうのだ。


もちろん他にも楽しいイラストがてんこもりです。
ルソーをパロった絵や、実際に見た夢をイラスト化したもの、3人の少年が大人の世界を覗くような冒険もの。全てが際限ない想像力によって作られたことがひしひしと伝わって来る。
唯一無二のアーティストなのですね。

そして、けっこうな盛況で、お客さんもだいぶ入っていました。

けっきょく、創作意欲と言うものは子供のような純真さをどれだけ継続し、研ぎすまさせられるかということなのかもしれない。そんなことを思わされた。