UBS展 「アートは心のためにある」

MORI ART MUSEUM [アートは心のためにある]

森美術館で始まったばかりのUBSアートコレクションを観てきました。
展示会場内にソファやパソコンが配されていて、まるでUBS社内にいるような(おそらく)イメージで作品を見ることが出来ます。

基本は現代アート。展示テーマは3つ。
「1.ポートレイトから身体へ」、「2.造られた世界」、「3.ランドスケープから宇宙へ」

こうやって現代アートを横断してみるとその作品群は、「これまでの常識を疑え」というメッセージを感じ取ることが出来る。
森村やシンディ・シャーマン、杉本の写真作品はそもそも写真は真実を写す、という常識を覆している。我々が写真に観ているのは思い込みやステレオタイプのイメージだったりするのだ。

他にも、ゲルハルト・リヒターのぼかした写真やペインティングはイメージの強度という問題を突きつけてくる。何を持って我々の目は人やモノを判別するのか。それは角砂糖をはめ込んで人の顔(らしきもの)のイメージを作り出した作家(名前失念)にも言えると思う。


同時に今回の展示を観て痛烈に批判の対象になっているのが「消費社会」ではないだろうか。

アンドレアス・グルスキーの99セントショップの写真は、色鮮やかなスーパーが異様さを持って飛び込んでくる。それはイタリアの海岸で海水浴をする大量の人の写真や、雪山の頂上でめいめいが好き勝手な方向を向いた一瞬をとらえた写真でもある種の気持ち悪さ。過剰さが浮き彫りにされている。

気づかないうちに我々が、いかに消費社会に取り込まれ、それを自然なことと疑いもせずに暮らしていることの恐ろしさに気づく。


こうして現代アートを、いくつかのテーマでガッツリ観ることはすごく刺激的な体験だし、やっぱりいっぺんに大量に同時代的なものを観ることで、見えてくることもあるのかもしれない。
まぁ、そういうことを抜きしても楽しめると思う。


ちなみに音声ガイドは貸し出し無料。
混雑時は全て出払ってしまうようなので、タイミングを見計らって借りておいた方がより楽しめる。