「文学の触覚」


東京都写真美術館


現代写真美術館、「文学の触覚」を観に行った。閉館前だったので、空いてはいたものの慌ただしい。


一言で言ってしまえば、文学作品を材料にしたメディアアート、と言った感じ。
小説の言葉が映像になり、手に触れたり、音として聞こえたり、文章がばらばらになったり。
なかなか言葉で説明するのは難しのだけれど。


その中でも最も面白さを感じたのは、「dividual」というグループの作った「タイプトレース」。

舞城王太郎が、福井で小説を書く。そのタイプのスピードをそのまま、目の前で再現されるというものだ。だから、例えば1月3日に舞城が書いた原稿が一文字ずつ、画面にうたれていく。しかも、面白いのは、彼がタイプする際にかけた時間分、文字が大きくなる。つまり、熟考して打った文字は大きく、すぐさま打たれた文字は小さく画面に表示されるのだ。それによって、この文章のどこで作家が頭を悩ませて言葉を抽出したかを、観ている我々が追体験できるのだ。


作家の頭の中をのぞいたようで、面白い。


観ていると、案外「っていうか」とか「すんごい」とか舞城独特の現代言葉に時間を費やして生み出しているのが分かる。IT技術もすごいところまできたものだ。


展示スペースもそんなに広くないので、短時間で観れる。
体験型が多い。ぜひ。