新釈走れメロス / レイモンドカヴァー


仕事がどうも落ち着いているので、最近は読書三昧。


森見登美尾の「新釈 走れメロス」、「夜は短し歩けよ乙女」を表題作だけ読む。
(残りは順次。)

今年の本屋大賞にも「有頂天家族」がノミネートされており、面白いらしいぞ、ということで。


「走れ〜」の方は、勢いばかりが目について、古典の新釈というところに、うまさよりも強引さを感じてしまった。
あとは初めて読むにしてはちょっと下品さを感じてしまって。。

だから「夜は短し」の方がうまいし、断然面白かった。
読んでいて吹き出してしまう部分もあったし、何より語り口の妙にぐいぐい引き込まれた。京都出身ということで、武器を持っているんだなぁと感じてしまいました。ただ、長編のつもり読んでいたら、短編で割と早めに落ちが出てきて、とまどってしまった。。
長編が読んでみたい。


続けて、レイモンド・カーヴァーの「頼むから静かにしてくれ」。
昔読んだことが会ったような気もするのだけど、あんまり記憶になくて、村上春樹が絶賛するそのすごさにもたどりつけなかったので、再度手にしてみたわけなのだが、これが面白い。


森見を前菜とすると、カヴァーはメインディッシュ。

(うかつにも)浮気を追求し、その真実を知ってしまった夫の、うじうじと悩んだり、めらめらきたり、でも結局家に帰って、そして妻からの行為に心を許してしまうという、もうなんともリアルな。
すごくわかるなぁ、というか、自分であってもなんらおかしくないストーリー。描写一つ一つに無駄がなくて、全てがどこかで起こりえる自分の姿を描いているように思えて、不気味ですらある。


短文でぐいぐい読ませる感じが、古川日出男を想定させた。
そういえば、「ゴッドスター」のエピローグにカヴァーの名前が出てきてたっけ。


カヴァーの小説にのめり込めるくらい、自分が人生の悲喜を、大学の頃よりは味わってきた、という証明なのでしょうか。…いや、むしろそうだといいんだけど。


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頼むから静かにしてくれ〈1〉 (村上春樹翻訳ライブラリー)

頼むから静かにしてくれ〈1〉 (村上春樹翻訳ライブラリー)