野村の流儀

たとえば、デートなんかで女の子の買い物に付き合うのが苦手だった。


両手に二つ商品を掲げて、
「どっちがいい?」
なんて笑顔で聴かれては、いつも答えに窮していた。


「なんとなくこっち」というのはあるけど
そんなてきとーでも悪いし、優柔不断なところも見せたくないし、
でも根拠もなく意見を表明するのも後ろめたいし…


今思えば、当時の僕はどちらを選ぶ「理由」に乏しかったんだと思う。


「買い物」じゃなくても
仕事にだって、どちらかを選ばなくてはならない場面はつきもの。


「う〜ん。なんとなくこっち」じゃ相手も納得がいかないだろう。


どうしてこっちを選んだのか。
自分の答えなのに、自分で説明し切れないということは
もやもやを抱えるような気持ち悪い感覚だ。


だけど、そこがプロとアマチュアの境界を決めるらしい。


楽天の野村監督は言う
「なぜその一球を選択したのか。なぜ他のものは捨てたのか
明確に認識してこそ、プロフェッショナルといえる」


たぶん、一回だけベストな方を選択することは(誰でも)できる。
でも、それを高確率で続けていくことはプロにしかできない。
つまり、再現性があるということ。
よくビジネスは勝率10割じゃなくて、7割をいかに残せるかだというけど、
10割なんてそもそもありえないのだし、
一回こっきりで継続性のない仕事なんて、ない。


そんなときに、自分が選択した「根拠」をつかめないと
再現は期待できない。一発屋だ。


自分の選択や、いいなぁこの作品、と感じたものに対して
「どうしてよいのか」を突き詰められるかどうか
それが精度を上げる秘訣なんだと思う。


そもそも仕事なんて、「正解のない」ことを考え続けているのだ。



そんなことに気付かせてくれた。

「野村の流儀」には257もの言葉がつまっている。

野村の流儀 人生の教えとなる257の言葉

野村の流儀 人生の教えとなる257の言葉