スラムドック・ミリオネア
たまには映画の栄養を、ということで
『スラムドック・ミリオネア』を観てきました。
ストーリーはいたってシンプル。
インドのスラム出身の若者がクイズ番組『ミリオネア』に出演。学のないはずの「スラムドッグ」はバシバシと答えを言い当てて行く。答えを知る要因となったのは彼が幼少時代を過ごしたスラムでの生活だった、というもの。
観終わった感想としては、うまくできてるなーということ。
たとえば主人公ジャマールのスラムでの半生を単純に描くだけでは、ここまでカタルシスの得られる作りにはならなかったと思う。
絶妙なのは『ミリオネア』という現代の一獲千金を、スラム出身の若者の人生と掛け合わせたところ。
そのことで、インド発展の影で軽んじられるスラムの生活や拝金主義といった重いテーマさえも、ラストのドリーミーな展開へのステップへと変えることが出来る。
そうして物語はラストの胸をすくような展開へと加速する。
それにしても、文明の発展とはなんだろう。
中盤で、兄が高層ビルの上から
「ここが俺たちの住んでいたスラムだったなんて信じられるか?」
と漏らすシーンがある。
日本にいる限り、インドの急速な発展を肌で感じることは難しい。
だけど、この映画を観れば、目眩のするようなインドの「変化」の一端を感じることは出来るかもしれない。たとえ、躍動感ある展開とダンサンブルな音楽とに目を奪われてしまったとしても、そこに描かれる現実はかき消されることはない。
文明とは、金とは、ということに想いを馳せながら、人が最終的に行き着く答えのようなものに触れられる映画である。
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