「観光」について考える

東南アジアの観光機関の担当者の方が発起人になり、今後の「観光」について考える勉強会の第一回が開催された。


ITに広告にボランティアに代理店に行政に、と集まった人たちの顔ぶれは見事なまでに異業種で、様々な角度でモノが見れる会になった。


まず第一のテーマは、旅を通じた「学び」。

これまで「旅」するだけで終わっていた旅行者の「前」「後」の行程に目を付けて、動機付けて行こうとする戦略である。

たしかに今は「学び」ブームである。
検定ブームは言うまでもなく、JTBは朝日カルと新たな会社を立ち上げるし、セブン&アイも「カルチャー」「旅」の分野に参入して来るとのこと。


背景にあるのは、団塊世代や若い人の中で「海外旅行」が特別なものでなくなったという現実。
10年前、バックパッカーが流行った時代とは違って、海外に行くことはそれ自体で価値のあることではなくなった。ネットで情報が得られ、どんなところか行く前にだいたい検討がつく(と思ってしまう)し、2万3万出せば気軽に海外に渡れてしまうのだ。
(たしかにツアーの組まれているような海外に行っても価値観変わるような出来事には遭遇できないだろうな…)


だけど「海外に行かない」ことがそのまま「好奇心を失った」ことに直結するわけではない。
前述の世代の人たちの中でも、高いお金を払って秘境に行ったり、あるいは国内でボランティアに参加したりと、型にはまらない非日常参加への行動が見られる。


結局、今の時代の旅行への動機付けには「+体験」が必要なんじゃないだろうか。「学び」への意欲と「旅」は相性がいいはずだ。
かつて旅に出ることだけで得られた価値観の更新を、今はもっと深いレベルで提案していかないといけない。

だからこそ、にわかな「エコツーリズム」や「体験学習」ではなく、哲学や理念が参加者にきちんと腹に落ちるものでないといけないだろう。


今回の意見交換会で直接的に何か生まれるということではないのだけど、いろいろなヒントをもらうことができた、そんな貴重な時間でした。



御成門近くから観るタワー