サミット

2008年の七夕の日、G8サミットが始まった。最近の公共機関での警備の物々しさが緊張を高めていたけれども、テレビなどを観るとどことなくお祭りのような祝賀ムードがただよっていて、不思議な気持ちになる。今回のサミットの主要テーマが「環境問題」ということがあるのかもしれないが、朝日新聞の各ページには企業のCSR広告が入り乱れていた。どこもエコに真剣に取り組んでいるということを、このタイミングでアピールしておきたいのだろう。
それ以外でも、ヒルズでエコイベント(青山テルマが登場し、近くにはヒデの『TAKE ONE ACTION』の短冊!)やカンブリア宮殿ではアルピニスト野口健が出演したり。一気にエコムードが盛り上がっている模様。将来、歴史を振り返った時にあのサミットが分岐点になったと言われるよう、社会が環境モードへシフトチェンジする機運があるのではないだろうか。
 
クリエイターの高城剛なんかは、かつてITがもてはやされた時のように、今の流行りは「エコ」。温暖化しているかしていないかという客観的事実よりもビジネスとしてエコを意識しない方がリスクだ(みたいなことだったか)を言っていた。環境志向が、企業の倫理を問う、というモラル問題を超えてさらに儲けるべき装置として意識されだしている。Co2が元凶であるかどうか、というそもそも論をおざなりに、解決策もはっきりと見えないままに、経済を伴ってリアルに社会変革へと舵を切り出した。もちろん、手放しで喜べないけれど(排出権取引なんて利権狙いが見え見えだ)そういう生々しい儲けの精神とエコセレブにみられるような倫理観、その二つが両輪のように先進国の技術力を推進していくんだろうと思う。

 そこで希望的な観測。
 今の日本ってほんとうんざりするくらい未来に希望が持てない先行き不安社会だ。政治も役人も経済も若者もざっくりいうと停滞してる。そんな社会において一気に消費大国を脱却して、環境立国になることは、オリンピックをやるなんて古都よりもよっぽど自信の持てる国づくりになるのではないだろうか。かつて高度経済成長によって外国を驚かせたように(リアルタイムでは知らないけど)、その技術力と日本人的足るを知るつつましさの精神で、世界の見本となれるんじゃないだろうか。別にこれは地球のために、なんてことじゃなくて、その方が今よりも気持ちいい生活ができるように思えるからだ。地球のため、ホッキョクグマのため、というのは(まぁテーゼとしてはいいけどさ)そろそろ卒業して、大人な変革を進めても、いいんじゃないかなぁ。。
そのために、価値作り。そうやって現れた成果を知らしめること。認知すること。評価すること。

もうここから先、環境ナシでは話にならない、不可逆的な世界に突入していくんだと思う。

それをピンチと思うか、チャンスと思うか。それで企業の生き残りも決まる気がする。。。