『反省』 佐藤優×鈴木宗男

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まず断っておかなければならないのは、僕は例の「鈴木宗男事件」に多くの知識も持っていないし、ずっとウォッチしていたわけでもない。
だから、というわけでもないのだが、本書を読んだ時に大きな衝撃を受けた。


まずは鈴木宗男=悪者、というメディアの図式にいとも簡単に乗っていたこと。
このことは僕を恥ずかしい思いにさせた。


ココ最近のメディアを中心にした個人へのバッシング行為はすさまじいものがある。いわゆるメディアスクラム。なんだかインタビューアーの人にも品性を欠いた人も多いし。悪者と決め付け、いっせいに取材をかけ、人を死にまで追い込むことがある。

言論の自由は絶対に守られなければならないけど、みんなの注目があるから、勇気を持って(と勘違いして・・)突撃取材したり、個人攻撃したり。。

そしてそれを鵜呑みにしてしまった、当時の自分にも大きく反省するべきところがあったのだ。



さらに衝撃だったのは、外務省の体質。

カネを自分のものとしか考えないような人間は想像が付くが、共産党へ外交機密を流して、鈴木氏へ不利な状況に追い込もうとするその自己保身・無責任の体質。
国策捜査という名の検察の追及。
国策捜査のその先待っているのは地獄しかない、という鈴木の言葉。
征治の世界の出来事とはいえ、これが同じ日本、しかも普段見守っている舞台の裏で行われているのだと思うと、恐ろしいものがある。



何年か前に、ロシアの船に銃撃されて若い船乗りが命を落とした事件があった。

それを僕はずっと腑に落ちなかった。

これほど、拉致被害者、つまり北朝鮮に対して強硬な姿勢を貫いている日本が、人が殺されている現実に対してほとんど沈黙したまま(メディアも含め)だったからである。
もっと大騒ぎしてもよいのではないか?
それとも、頭が上がらないのか。何も言える立場にないのか。


この事件に対する、2人の言及で、彼らがパイプを繋いでいる状況であれば、発砲までにいたらなかったという発言は、この国の国益とはつまりなんなのかを象徴しているようで、非常に考えさせられるものだった。