『それでも僕はやっていない』


それでもボクはやってない スタンダード・エディション [DVD]

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※ネタバレ有り!


衝撃的です。映画の節々のせりふが現代裁判の現実を浮かび上がらせる。

そりゃ僕だって、真実なんて幻想でしかないと分かってはいるつもりでしたよ。でも、裁判所がこれほど官僚主義的で予定調和で…・・・なんといっても99.9%が有罪、有罪が前提で話が進む、ついには「無罪」にすると国家権力(検察)にたてついたも同然だから出世のためには有罪を連発、なんてご都合主義を聞いてしまうともう何を信じていいか分からなくなる。

ラストの有罪判決を受けた主人公の言葉が、裁判とは何かを雄弁に物語ってくれているようだ。


「心のどこかでは裁判官は分かってくれていて、無罪になれると思っていた。でそうじゃない。真実を知っているのは僕だけだ。裁判官は間違いを犯している。でも、裁判は真実を明らかにする場じゃない。証拠を集めてきて有罪か無罪かを「とりあえず」どちらかに決める。その中で僕は「とりあえず」有罪になった。それでも僕はやっていない。」


たしかこんな内容だったと思う。


よく「裁判で真実を争う」なんてせりふをよく耳にするけれど、本当にそう信じていたならば最後に痛い目に合うのは自分かもしれない。

人が人を裁くってなんだろうか。法廷では「とりあえず」でしかないのだろうか。


僕らの身の回りの社会が決して真実だけで動いていない中、公正中立と信じていた裁判が、あまりに世俗的な慣習で動いているのならば・・・



本当にね。背筋が凍るような怖さを覚えます。

極力関わりたくないと思っていても、いつ巻き込まれるかそれは分からない。


全編を通じてぞわぞわする違和感が連続する、そんな暑い夏にぴったりの(?)映画なのです。