『東京から考える』


東京から考える 格差・郊外・ナショナリズム (NHKブックス)

東京から考える 格差・郊外・ナショナリズム (NHKブックス)


生まれる場所は選べなくとも、死ぬ場所は選べる、というのが世の中の定説である。そうであるならば、僕らはどこに住み、どこで人生を送り、骨を埋めるのか、ということを積極的に選び取っていかなければならない。自分を規定するものは多々あるが、どこに住むかということもまた「自分はどんな人間であるか」ということを表層から規定する材料にもなるのだ。
引越し好きで、新居探し好きな僕は、この本をとても興味深く読んだ。社会人になって上京してきたこともあり、東京のこのいびつな成り立ち方にも、部外者として興味がある一方、今後長く住んでいくであろうこの街で、自分の趣向とマッチした街を探し、選び、住むことは人生において非常に重要なファクターであるからだ。


と、そうはいいつつも、結局、どこがいいのよ?住むのには。という結論を急いでしまう。
もちろんこの本にはそのような解答は用意されていない。住みやすい都市ベスト10なんてもものももちろんない。
ないのだが、ああ住みたくないな、こりゃ。と思わされたのは、「ジャスコ化」「国道16線化」する都市である。
ジャスコ化」とは没個性で全国どこへ行っても同じ店構えのチェーンが増殖することだ。ドンキホーテマクドナルド、洋服の青山ヤマダ電機…ああなんか想像つくよ、そういう街。国道16線沿いにそういう傾向が強い、ということ。
逆に郊外量販店の侵食から免れる都市は、という問いにもオタクとしての個性を持つ「秋葉原」やシュミラークル都市としての「青葉台」があがる。が、その青葉台ジャスコ化から街を守り、共同体としての幻想を守るために監視カメラを住民主導で積極的につける、なんて話が出てくると、どうもそれも違うんじゃない?と思わされたり。


郊外に限らず、地方都市へも繁殖する大型チェーン店、ファスト風土化ということをメインのテーマに東京の都市を(個人的思い入れを込めながらも)語り合う、という内容。