『断る力』 勝間和代

断る力 (文春新書)

断る力 (文春新書)

三省堂(神保町)の入口付近に平積みにされていました。
新書でありながら、真っ赤な装丁に印象的な帯。
これはまさに売れるべくして売れるであろう本。鉄板。


内容は、「断る力」を身につけてから仕事で成果を上げられるようになった著者自身の経験を踏まえて、いかに「断る力」を身につけ、「コモディティ」から「スペシャリティ」に転身するかについて書かれています。


まず導入としてうまいな〜と感じるのは、

1)何か頼まれたら断れないことは誰もが陥りがちなビジネスマン共通の課題である
2)さらに今をときめく成功者、勝間和代でさえかつては断れなかった。


という前提からスタートすることで、
読者がこの本へのめり込む導線がきっちり提示されている。


そもそも、「断る力」というのは手段に過ぎず、
著者がいいたいことは、「自分の軸を作れ」ということである。



「断る力=自分の軸を作る」。そのために、
「自分の得意・不得意を明文化しよう」「相手との対等な関係を築こう」
「相手にとってもいいたいことを主張した方がよい」「インセンティブの調整」などなど細かな対策に落とし込んでいる。


この個々の提案もまた説得力があるので、
ずんずん読み進めることができる。


だけど、これを実践することでどれだけ僕らの平凡な仕事生活が
改善されるんだろう。
この本一冊を読んで、ここに書かれている手段だけを真似ようとしても
成功に至るのは一部の人じゃないだろうか。


いうまでもないことだろうけど、読む人自身に野望や将来像があってこそ、
この本は役に立つ。
その実現のツールとしてこの『断る力』があると思うのだ。


個々の野望・目標が明確であれば、この本はそこにレバレッジをかける
名著となるはずだ。
だけど「自分の軸」探しにはちょっと物足りない。

扱い方を間違えてはいけない本のように感じた。