『チェ28歳の革命/39歳別れの手紙』

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試写会の当たった『チェ28歳/39歳』を二部ぶっ続けで観てきました。

Tシャツにもプリントされるなどいまだに革命家として世界中で指示されるチェ・ゲバラ。彼がボリビアで銃殺されてからちょうど40年たった今でも多くの人たちに愛されるその理由はなんなのか、彼は一体何を成し遂げ、残したのか。その史実に迫るすごくいい映画だったと思いました。


全編を通じて感じるのは、監督のソダバーグが作り手としてゲバラへの敬意を失わずに撮っているとこと。作者側の一方的な肩入れや情緒は極力排し、ゲリラ戦を中心に淡々と描写する。それでいながら彼の台詞や言葉からその深い人徳や人柄がにじみ出るように作られている。もちろんそれはベニチオ・デル・トロゲバラ本人と見紛うような熱演あってこそだ。


彼の人徳が観る側につたわってくるからこそ、『28歳』のキューバ革命達成の胸をすく感じ、『39歳』のボリビアでのなす術のないざわつきがリアルに届く。目撃者としてゲバラと半生を共にし、彼がどんな人物で、何を成し遂げようとしたのかを、「感じる」ことが出来るのである。


彼はアルゼンチン人でありながら、キューバ革命を成し遂げ、その後も政治の表舞台に安住することなく、コンゴボリビアに革命を輸出しようとした。その行動は愛国心からではなく、理念や人間への愛があったからこそなされたものだった。


武力闘争やゲリラを指示しただけでは彼はここまで英雄にならなかっただろうと思う。

彼の言葉が現代の我々にも届くのは、不遇をかこっている人間がいて、それを見て見ぬ振りなど出来ないという人間愛が根本にあるからこそなのだ。


彼の息子への手紙にその想いがこめられている。

  • 世界のどこかで誰かが不正な目にあっているとき
  • 痛みを感じられる人間になりなさい


イラクやアフガンのテロを思うと、とても過去の話として片付けることは出来ない物語である。