連合赤軍 という歴史

阿佐ヶ谷LOFTにて、こんなトークショーを観てきた。
Asagaya LOFT A / 阿佐ヶ谷ロフトA

全共闘世代VS自分探し世代〜この世を悪くしたのはお前だ!
現代日本年金問題格差社会、目を見張るばかりの、嘘、インチキ、不正、税金横領等々全くひどい国になったもんだとは、周知する所だが、「こんな社会一体誰がした!」と言うところで若者達は、「全共闘世代が一番悪い」と言い一方じじい世代は「お前らしらけているだけで、何も戦おうとしないじゃないか?少なくとも俺たちの若い頃は為政者や不正に対して実力で戦った」と言った所から出発して、ともか激烈な討論を通じて何かを産みだそうと言うのがこの企画だ。(平野悠)

【出演】
鈴木謙介社会学者)
森山裕之(編集者)
塩見孝也(元赤軍派議長)
平岡正明(評論家)
【司会】
平野悠

全体で3時間あまりのトークだったわけだけど、正直な感想として、すごく物足りない、ある意味では残念な会になっていたように感じた。
なぜか。トーク自体が、若者世代と全共闘世代との対論ではなく、自分たちの思想の垂れ流しになってしまったからだ。どんな質問があっても、それを全て理論武装された自分たちの思想に押し込めて答えているように感じられた。全共闘世代のインテリの人はすごく勉強熱心(偉そうな発言に聞こえたらごめんなさい)で、様々な思想を学び、いろんな世界の事象に目を配っていた。でもそこから導かれる答えが、「団結せよ!」に行き着いてしまうのはどうにも腑に落ちない。
連合赤軍のことを総括する、という狭い議論ではなくて、若い世代と年輩の世代との議論が聴けるまたとない機会なのだから、活動がどうだったかはもちろんそこでの経験、そこから先の考え、そして現代社会をどうにかするための策などなど、具体的なところでの意見交換が欲しかった。
でも、壇上の方々やもしかすると聴衆の多くはそんな話し合いではなく、単純な思想のぶつかり合いを期待していたのかもしれない。それは聴衆のリアクションや空気を見ていても感じられたことだった。なんだか、プロレスみたいでそういうのも僕としては違和感が残った。

もしかするとこうやって世代間の断絶が取り返しのつかないところまで進んできたのかもしれないな、と思わされる光景だった。やっぱり、挑発的発言やそれに対する受け答え、などなど、ああいうのはよくないんじゃないか。


とはいえ、それは自分自身の不勉強にあるのかもしれない。
左翼の歴史、思想信条がどの程度社会に影響を及ぼし、どういう立ち位置にあるかは、なんとなくしか分からない。

でも、やっぱりそれよりは「今、このひどい現実をどうするんだ」という問題の方が僕にとっては重要で、その点で言うと最後に鈴木謙介氏が「すでに世界中で世界を変えなきゃと思って、動いている人たちがいるんだ」ということの方が何倍も信じられる。やむにやまれぬ衝動を抱えて、自分の中の良心や覚悟のようなものを頼りに動いている人たち。強靭な思想よりもよほど何かを変える可能性が、そこにはあるんじゃないだろうか。

おそらく当時も今も、社会をどうにかしないといけないという危機感は同じようにあって、ただ行き着く先が違うだけの話なんじゃないだろうか。そうであれば、なおさら机上のバトルで盛り上がっている場合じゃなくて、たとえ団結出来なくても、何かしら自分の信じた手段で世界を変える行動に出ることが、(それは世代を超えて)出来るはずだなどと、楽観的すぎるのかもしれないけど思ってしまうのです。

政治を転覆させることだけが世界を変える手段じゃない。

※なにはともあれまずは映画を見るところから始めよう
映画監督 若松孝二 公式サイト